最近、カフェのメニューでよく目にするようになった水出しコーヒーは、そのクリアで爽やかな味わいで多くのファンを魅了しています。実は、この水出しコーヒー、家でも手軽に作ることができるのです。
この記事では、水出しコーヒーの持つ独特の特性とその魅力について詳しく解説します。さらに、家庭で水出しコーヒーを手軽に美味しく淹れる方法も紹介していきます。
水出しコーヒーとは何か？
多くの日本人が好むアイスコーヒーは、通常、熱いコーヒーを淹れてから冷やして飲むものです。しかし、水出しコーヒーは冷たい水を使って最初からコーヒーを抽出します。
ただの温度差だけの違いに見えるかもしれませんが、水出しコーヒーはなぜこれほどまでに人気があるのでしょうか？この記事では、水出しコーヒーの特性とその魅力を掘り下げてご紹介します。
水出しコーヒーの起源とサードウェイブコーヒー
2010年代に入ると、より質の高いコーヒーを追求する「サードウェイブ」というムーブメントが広まり、アメリカのコーヒーショップで「コールドブリュー」と呼ばれる新たなスタイルが生まれました。これが、現在多くの人々に愛されている水出しコーヒーです。
コールドブリューは、常温の水でコーヒー豆を長時間浸すことによってゆっくりと抽出する方法です。通常のアイスコーヒーとは異なり、この方法では時間をかけることで独特の風味が引き出されます。その独特の味わいが評価され、やがて「水出しコーヒー」として日本にも紹介されることとなりました。
水出しコーヒーの独特の風味
通常のコーヒー抽出ではお湯を用いることが多く、これによりコーヒー豆の色や香りだけでなく、油分も一緒に抽出されます。この油分には豆の風味が含まれており、油分が多いほど豆の個性が際立ちますが、同時に苦味や渋味も強くなることがあります。
しかし、水出しコーヒーでは水と油の非混和性を利用し、油分が抽出されにくいため、結果的にマイルドでクセの少ない味わいとなります。この抽出方法によって得られる透明感のある色も、油分が少ないことによる特徴です。このように、水出しコーヒーはその独特の優しい味わいで多くの人々に愛されています。
アイスコーヒー愛好家に最適な水出しコーヒー
水出しコーヒーは、その製法が油分の酸化を抑えるため、時間が経っても味の劣化が少ないとされています。通常のアイスコーヒーでは、空気に触れるほど油分が酸化し味が変わりますが、水出しコーヒーはそうした影響を受けにくいのが特徴です。
このため、水出しコーヒーは長時間保存しても美味しさを保ちやすく、特に暑い季節のアイスコーヒーとして最適です。大量に作っておいて、冷蔵庫で冷やしておくと、暑い日にさっぱりとした味わいで楽しめます。その清涼感から、まるで麦茶のようにどんどん飲むことができるでしょう。
水出しコーヒーの準備方法
水出しコーヒーを作るために特別な準備が必要なわけではありません。ドリップコーヒーと同様に、必要なのはコーヒー豆、水、そして抽出用の容器だけです。ただし、カフェ品質の水出しコーヒーを自宅で再現するためには、いくつか重要なポイントがあります。
以下で、美味しい水出しコーヒーを作るための各ステップを詳しく解説していきます。
水出しコーヒーに適したコーヒー豆の選び方
水出しコーヒーを淹れる際、コーヒー豆の選択が非常に重要です。この抽出方法は豆の風味をダイレクトに引き出すため、上質な豆を使用するとその味わいがより一層際立ちます。どの豆を使っても問題はありませんが、特に深煎りの豆がおすすめです。
深煎りの豆は、その濃厚な味わいでプロフェッショナルな水出しコーヒーを手軽に作ることができます。もしあまりに苦味を感じたくない場合は、やや苦みが少ない中煎りの豆が良いでしょう。また、挽き具合は中挽きから細挽きが適しています。
コーヒー豆の選び方に迷ったら、「イタリアンロースト」や「フレンチロースト」などの深煎り豆をペーパーフィルター用に挽いてもらうと良いでしょう。
水道水でのコーヒー抽出について
水出しコーヒーを含むコーヒー抽出においては、使用する水の純度が高いほど、より美味しいコーヒーが淹れられるとされています。ただし、ミネラルウォーターが常に最適というわけではありません。特に硬水はマグネシウムなどのミネラルが豊富で、これがコーヒーの風味に影響を与えるため、ミネラルウォーターを使用する場合は軟水を選ぶことが推奨されます。
日本ではほとんどの地域で軟水が主に使用されており、水道水が美味しい地域では水道水を使用しても美味しい水出しコーヒーを作ることができます。したがって、お住まいの地域の水道水が飲用に適している場合は、それを使っても問題ないでしょう。
専用ポットがない場合の水出しコーヒーの作り方
水出しコーヒーを作る際には、抽出後のコーヒー豆を手軽に取り除ける専用ポットがあると便利ですが、必ずしも必要ではありません。水出しコーヒーの製法は水出し麦茶と似ているため、麦茶を淹れる時に使う茶葉用パックやピッチャーでも十分に美味しいコーヒーを作ることができます。
最初は家にあるボトルを使って水出しコーヒーを試し、その後でより使い勝手の良い専用ポットを検討するのも良いでしょう。
カフェ品質の水出しコーヒーの自宅での作り方
コーヒー豆と水を用意したら、自宅で手軽に水出しコーヒーを作る準備が整います。お店で提供されるような美味しい水出しコーヒーを作るコツは、夜に準備をしておいて一晩寝かせることです。これにより、朝起きたときには、カフェで楽しむような味わい深いコーヒーが待っています。
この記事では、専用ポットを必要としない簡単な方法で、すぐにでも始められるレシピをご紹介します！
ドリップコーヒー機器での水出しコーヒーの作り方と麦茶用ピッチャー利用法
ドリップコーヒー機器を使った方法: ドリップコーヒー愛好者には、普段使っているコーヒーサーバーを利用した水出しコーヒーのレシピがおすすめです。これを使えば、簡単に水出しコーヒーを始められます。
- 約50gの挽いたコーヒー豆をコーヒーサーバーに入れ、400～500mlの常温の水をゆっくりと注ぎます。
- スプーンやマドラーで軽くかき混ぜた後、冷蔵庫で約7～8時間冷やします。
- ドリップコーヒーのようにペーパーフィルターを使ってコーヒー豆を濾し、完成です。
麦茶用ピッチャーを使った方法: 量を多く作りたい場合は、麦茶用ピッチャーを使用する方法が効果的です。これはプロの味を家庭で再現するのに適しています。
- 約100gの挽いたコーヒー豆を茶葉用の紙パックに入れて封をします。
- ピッチャーにこの紙パックを入れ、1リットルの常温の水を静かに注ぎます。
- 常温で1時間放置してから、冷蔵庫で7～8時間冷やし、紙パックを取り出して完成します。
水出しコーヒー作成時の注意点: 水出しコーヒーを最高の状態で楽しむためには、抽出後は速やかにコーヒー豆を取り出すことが重要です。抽出時間が過ぎると、苦みや渋みが強まる可能性があります。また、完成したコーヒーは24時間以内に飲むのが理想で、保存は2～3日以内に完了させることをおすすめします。
素材を生かした水出しコーヒーの楽しみ方
水出しコーヒーの大きな魅力は、使用するコーヒー豆や水の質がダイレクトに味わいに反映される点です。これにより、様々な種類の豆や水を試すことで、多彩な風味を発見する楽しみがあります。加熱を伴わないため、水出しコーヒーにフルーツなどを加えてフレーバーコーヒーとして楽しむのも良いでしょう。特にスライスしたオレンジを加えると、爽やかな味わいを楽しめます。
これから水出しコーヒーを始めるなら、まずは身近にあるコーヒー豆を使い、簡単にできる容器を活用してみましょう。
